<この記事は、【裏トーク】このチームで、死ぬまで一緒にブランドを見届ける。(前編)の続きです。>
前編では、玉井さんとrenの出会い、ブランド開発の方向性が固まるまでのお話をお伺いしました。中編では、「Chotto Time」がかたちになるまでの過程を聞いていきます。
“役割を脱ぐ”というキーワードから、固まっていくブランド像
ーブランドの方向性が固まったあと、プロジェクトはどのように進んでいったのですか
玉井)方向性は「ちょっとぼちぼち休憩せん?」で固まりました。当時、プロジェクト名が、「CBBKS(ちょっとぼちぼち休憩せん?の頭文字)」だったし(笑)。
木部)僕は、このくらいのタイミングから、プロジェクトにジョインしたと思います。ブランド像を固めるなかで印象的だったのは、大人って休憩することがあんまり上手じゃないかもという話があがったこと。休憩するためには、なにかしらのフックが必要ではと議論になりました。そこから、“肩書を外す”とか“演じているものをいったん止める”といったキーワードが出た。そして“役割を脱ぐ”という言葉にたどり着きました。
玉井)そうそう。あと、その時は「はだか麦を世に出すぞ!」という大義名分を強く意識していました。だから、「ちょっとぼちぼち休憩せん?」だけだと、どこにはだか麦の要素があるのか伝わりづらい。
山田)「ちょっとぼちぼち休憩せん?」という言葉と、“役割を脱ぐ”というキーワード。さらに、どうはだか麦をアピールするかという課題。いくつか論点があったので、「作戦会議しよう!」と声を掛けて、朝8時半から朝食MTGを開催しました。
玉井)余談なんですが、開催場所は豊洲だったんです。そしたら、そこで大人が朝からラグビーをやっていて!やっぱ東京ってすごいなと思いました(笑)。都会には都会の休憩方法がある(笑)。
ー玉井さんならではの角度で面白いです(笑)。その作戦会議ではどんな進捗が?
山田)その場でブランド名が「ネネネイキッド」に決まりました。はだか麦の“はだか”、休憩するために”役割を脱ぐ”というキーワードも固まっていたので、キャラクターデザインもはじまりました。
木部)キャラクターのデザインは、主に僕が担当しました。大前提、このブランドはお菓子なので、かわいいキャラクターをデザインして世界観からつくろうと考えました。

玉井)今更なんだけど、キャラクターに熊を選んだのはなんでですか?
木部)パッケージになったときに、手足が動いたほうがアレンジしやすいと経験上思いました。なので、動物や謎の生物にするのが良さそうだなと考えたんです。
ブランド名の「ネネネイキッド」のネイキッドははだかという意味。“はだか”“脱ぐ”というキーワードをどうキャラクターに落とし込もうか考えていた時、ふと、息子がお風呂に入る姿が目につきました。不器用ながら脱いだり着たりしている姿が愛おしいなと思って。そこから着想を得ました。
玉井)キャラクターを見たとき、「めっちゃええやん!」ってテンションが上がりました。嬉しかったので、早速社内にも共有しました。そしたら、みんな「かわいい!」って反応してくれて。ブランド名もキャラクターも正式決定前なのに、“ネネネ”なんて愛称までできちゃいました。
お菓子ブランド完成間近に起こった、まさかの展開
ー「ネネネイキッド」という名前が出てきていますが、完成したブランドは「Chotto Time」ですよね。そこにはどんないきさつが…?
玉井)「ブランド名も決まった!キャラクターも決まった!最後の総仕上げだ!」ってなって、このチームで合宿をしたんです。2日間くらい缶詰で、ゴリッとやろうと。
木部)ブランド像は固まりつつあったから、どう販売していくか・どう広報していくかなどの道筋を諸々整理しようと話し合う予定でした。

山田)サッカーでいったら、ゴール前までボールを運んだので、あとはゴールに蹴り込むだけ!くらいだった。
玉井)でもね、そんな簡単にはいかなった(笑)。
山田)今思えば、みんなが薄々感じていた懸念点だったかもしれない。ネネネイキッドだと素材に使ってるはだか麦は表現できているけど、コンセプトにある休憩とネーミングがブリッジしないって。だから、満場一致で引き返そうとなった。玉井さんは、“ネネネ”との別れをすごい惜しんでいたけれど。
玉井)大好きだったし、社内でも好評でしたからね。
木部)ブランド名が変わるとなると、キャラクターも変わってしまう可能性がある。親しみが生まれ始めていたキャラクターだけに、難しい決断でしたよね。
山田)今でこそ商品化されたものを見れば、結局はネネネのキャラクターの世界観に近いものになったと分かる。でも、当時はどうなるか見えなかった。これ以上のキャラクターは生まれるのだろうか、と不安すらありました。
玉井)寂しさや不安もあったけど、切り替えるしかなかった。あのときはこのチームの底力を感じたな。ものの数時間で、「Chotto Time」をつくりあげることができた。
山田)「Chotto Time」にたどりつくまではやかったですよね。ワードに既視感があると思ったら、いちばん最初の「ちょっとぼちぼち休憩せん?じゃん!」って盛り上がりました。
玉井)最初に「これだ!」と思ったブランド名ではなくなってしまったけれど、方向性は間違ってないと再確認できました。

玉井)最初ははだか麦を使ってどう商品をつくるか、「はだか麦を世に出すぞ!」と始まったのがこのプロジェクトです。でも、議論を進めるなかで、「頑張りすぎているところに、ちょっと休憩」みたいな、“気持ちの転換点”を生むメッセージブランドにたどりつくことができた。
山田)世の中に提案できることが、ぐっと広がった感じがしましたよね。
玉井)まさにそう。例えば、違う素材をつかった商品開発ができるかもしれない。食品以外のアプローチだって考えられる。「Chotto Time」というブランドの可能性をいろいろ試してみたいなと思いました。
<記事の内容は後編に続きます>